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ちょっといい話って言うか、僕がスイッチが入った話をね、しようかなと思ってます。
まあ僕は出来損ないだったんですけれども、この出来損ないな俺がですねよっしゃ!!と、自分の仕事にこうスイッチが入った瞬間っていうのがいくつかあるんですけどね、その中で最も大きかったちょっと話をねしてみようかなと思うんですが。
それはね、余命宣告を受けたたかし君の話なんですけどね。
僕がシンデレラ城ミステリーツアーていうアトラクションに配属替えになったんですね。そうするとそこでトレーニングって言うのがあって、トレーニングはねえ3日から4日間ぐらいのトレーニングなんですけど、その中でトレーニング期間中にお客様の声を読むっていう時間があるんです。
僕らゲストコメントシートって言ってるんですけど、直接お客様から言われたこと、お電話、FAX、今だったらEmailってのもあるかな?そんなのが全部あるんですけど、それが全部書面になって残ってて、アトラクションごととかお店ごとのファイルが分かれてるわけですね。
だから自分がこれから担当するアトラクションのやつを読む時間というのをもらうんです。
先輩に「お前これ読んどけ」と言われて、
「おぅ!わかりました~!」って言って空いてる時間に読んで。
トレーニングのね最終日だったかな。これまた粋なことするんですよね。
(部屋に)入ってきまして、
「おい香取!どうだ?読んだ?」って。
「読みましたよ~」って言って。
「どうだった?」って言うからああでもないこうでもない、うわ~~って話すわけですよ。そうするとそれをねまた先輩もね、うまいっすよね。
「あーそうかそうか~、いや~俺もそう思うな~~」とかって言いながら聞くわけですよね。
ほんでこう、ずっと話してたら、タイミング見計らって一通ポケットから手紙を出してきたんですよ。
「ねえ香取さ、これ」
「なんすか?」
「いや、この手紙も実はファイルに入ってたのね。でもこの手紙だけは、ものすごく僕は大事なことが書いてあるんじゃないかなと思うんだよね。俺今からちょっと僕読んでみるから、お前さ、目つぶってさ、香取聞いて?」
って言われて、僕の前でその手紙をね開けて朗読してくれたんですよ。
これ書いてくれたのは当時3人家族のお母さんです。
1年前に家族3人でディズニーランドに遊びに行きましたと。非常に楽しかったでーす!ありがとう!っていう感謝の声だったんですね。
読んでいくうちにわかったんですけど、その家族はお父さんとお母さんと当時5歳の男の子で、たかし君の3人家族。
このたかしくん、手紙に書いてあったのは、生まれながらにして難病。重い病気を抱えてらっしゃるようなそんなお子さんだったそうです。ある時、病院の先生にたかし君の病気についての説明を受けたと。説明って表現なんだけど、あれ要はねもう余命宣告ですね。たかし君の病気はあと、もって半年です。と。
それ聞いて何とかしようと考えるわけです。だけど、なかなかその病気がまた難しい病気らしくて、決めたんですって。残された時間があったらもう全部たかし君の望むこと、全部させてあげよう!!って。
お母さんはたかし君の所に行って、何か欲しいものは?食べたいものは?ってやったんですって。それで、ある時お母さんが病室で聞いて下さったんですね。どっか行きたい所は?って。そしたらたかし君本人が言ってくださるんですね。
「ディズニーランド~!」ってね。よっしゃーっていうことで、それでやっとの思いで外出許可をもらって、1年前に家族3人で遊びに来ましたよ。っていう手紙でした。非常に楽しかったと。ありがとうありがとうありがとうと書いてありました。
中でも最後に利用したシンデレラ城ミステリーツアー。これはもう忘れられない思い出になりました~~!と書いてありまして、これがね、僕がこれから担当するアトラクションだったんですよ。 どんなアトラクションかって言うと、今はもうちょっと内容が変わったのかな?シンデレラ城ってあるんですよ。シンデレラのお城あるでしょ?
そのお城の中を僕らガイドが付いて、30人ぐらいを1グループにして、中を歩いて案内していくアトラクション。入ったことがある人はわかると思うんですけど、あれシンデレラ城なんですけどね、あのシンデレラね出てこないです(笑)悪いやつしか出てこない。
ちょっと小さい子どもにとっては、まあやっぱこわいアトラクションなんですね。真っ暗な地下室とか歩くんで。それでも、手紙によるとたかし君はお父さんに抱っこされながら、最後までついてったと。
それで最後の最後に、悪の代表みたいのが出てくるからこれやっつけないといけないんですよね。ストーリー上、伝説の光の剣っていうのがあります。光の剣は勇気があって善意があって、純粋な心のある人。そんな人が握ると、光が乗って爆発して、悪いやつをやっつけられる。そんなストーリーです。
僕らガイドはその30人の中から1人ね、手伝ってくれる人を選ぶんです。そん時はねもう迫真の演技ですね。
「どなたかいらっしゃいませんか!!!!??????誰か力を貸してください!!!!!!!」
とか言うんですよね。その時にたまたまなんですが、「はーーーーーい!!!!」って手を挙げてくれたのが、実はこの手紙のたかし君。
もちろん他にも数名手を挙げてくれた人たちはいたらしいんですね。
でもねそんなことあるんですね~。そん時のガイドがその手挙げた中から、「じゃあね…どうしようかな…あなた!!!」って選んだのがこれがたかし君だったんです。何かあったらよろしくねって言って。
よっしゃ!!みんなで行きましょう!とか言って入っていくと時間になるとね悪の大王が自動的に出てくるんすよ。はっはっはっは~とか言って出てきて、「わぁ!!あれだ!!あれをやっつけるぞ!!」ああでもないこうでもないって言って盛り上げるんですね。いよいよボルテージが上がってきたところで光の剣を出します。よしっ、みんな、この剣を使おう~~!!!」とかって言って。 それでさっき選んだ人を前に出すんですよね。「たかし君こっち来て―!!」とか言って、そんで呼び込まれて。残った人は皆で気持ちを一つにしてみんなで応援しましょう!みたいな感じですね。
みんなでせいの!で「がんばれーー!!!」
ボルテージが最高潮に上がってきたところで
「じゃあ行け今だ!!!」と。
「光の剣に力を与えて~~!!」とかって言って、バーーーンってやっつけるんですね。
で、悪い奴も「うわあああやられた~~」っちゅーことになりまして、
あ、あれ毎回あの野郎らですね。(笑)
それで、僕らはやったやったー!!!って次の部屋に行くんですけど、これがね最後のシーンなんですよね。
賞賛するシーンなんですけどちょっと小さい部屋なんですけど、前の方に小さな壇上があって、壇の上にさっき手伝ってくれた人をあげます。みんなの前で賞賛します。
この人がやっつけてくれました、たかし君です!!!ありがと~~~~~~~!!その時に東京ディズニーランドからは、記念のヒーローメダルっちゅーのを差し上げます。こんぐらいでこうヒーローって書いてあるやつね。原価にするとね、150円ぐらい(笑)僕らにとっては高々150円のメダルなんだけどこれがね、ものすごい変わるらしいですね。
それを僕達が首から下げてあげるんですけど、下げてもらったたかし君がすっごい喜んでくれて。手紙に書いてあったのは、それこそねもう病院に戻っても最後まで一時もそのメダルはもう首からは外さなかったって書いてありました。また病院に戻ってからも、来る人来る人みんなに見せびらかしてたらしいですね。
「見て見て~~~!!!これディズニーランドで悪い奴やっつけたんだー!!病気もやっつけちゃうぜーーー!!」って言ってたらしいんですね。
よっぽど嬉しかったんだろうと思います。
まぁ…残念ながら、その手紙によるとたかし君は天国に行ってしまったそうなんですけど。その手紙のね最後にこうお母さんが書いてくれてる文章があるんですけどね、これにやられましてね…。
えっとね、こんな風に書いてあったかな。
『確かに5歳っていうのは短い一生かもしれません。 でもあの時ディズニーランドに行ったの思い出は、私たち家族にとっても、きっとたかしにとっても一生の思い出になりました。本当にありがとうございました。これからもたくさんのお客様がいらっしゃると思います。是非そのたくさんのお客様の思い出を作って差し上げてください。応援してます。ありがとうございました。』
っちゅー風に書いてあったんですね。
これを最初に先輩から読んでもらうわけです。ものすごいショックで。もちろんそのたかし君が亡くなってしまったということもショックなんですけど、それ以上に…それ以上っていうかそれと同じぐらい自分自身が情けなくなると言うか、今思い出したことがあるんですけど、その手紙に来てくれてた日付が書いてあったんですね。何年何月何日。逆算するんですねそうすると僕がその日ね働いてます。
もしかすると、僕は知らないうちにたかし君とその家族に会ってるかもしれないですね。わかんないですよね。どれがたかし君か覚えてないし。また、やってたアトラクションはジャングルクルーズとかでしたね。これ最初はいいんですよね。あんまりジャングルに通ってる人ってあんまりいないでしょ。(笑)
毎日毎日ジャングルばっかりやってると弱い自分ちゅーのが出てきて、そのちょっとでもやっぱ楽したいとかそんな自分がおるから手を抜くんですよね。でも自分は手を抜いたことは自分自身はわかってるから、嘘つけないじゃないですか。だから理由を探すんですよ。ほんと適当な理由を探します。『暑いから』とか『お客さん少ねーしな』『雨だもんな!』とか言って。そんなんでサボっていい理由つくってサボってました。 …考えました。
もし自分が手を抜いたボートに、そのたかし君とその家族、乗ってなかったとも言い切れないですもんね。もし乗ってたとして、それがね手を抜いてたボートだったら、そんなもん一生の思い出どころかもうね、最低でしょ?それ考えたら、もうめちゃめちゃ凹んで、うわやべぇって。
そしたらまた先輩が僕のその姿を見て、「いいか、香取」と。「今のその気持ち、絶対忘れんなよね!!」とか言われて、「はい!」とか言ったんですけどね、次の瞬間だもんね、「いや…なんかお前忘れそう」忘れねえわ!みたいな。
「お前絶対忘れるって。じゃあ明日から「5分10分早く出て来い!」と。
「なんでですか!?」
「ちょっと早く出てこの手紙を読んで仕事に入ったらいい。毎日毎日毎朝毎朝この手紙を読んでたら今の気持ちになれるじゃん。俺な、お前にな読んでほしい手紙な、まだたっくさんあるぞ」って用意されてるんですよね(笑) そっからですよ。毎日読まさせられるんですけど、でもよかったです、やって。
今考えてもやっぱりこう読んでた時に、たかがバイトかもしれないんだけどそれでもねこんな自分でも最初下手くそかもしんないけど、でもそれでも一生懸命やったら、こんな自分でもうなんかどっかで誰かの役に立つんかな~って思えたんですね。
その瞬間からですかね、僕ん中にバチーンってスイッチが入ったのは。皆さんのお仕事も僕らのお仕事も多分一緒なんじゃないかなと思います。是非自分がやってるその先にあるもんをね、やっぱり想像していけたらちょっとスイッチが入るんじゃないかな。
それは皆さんの目の前にいるお客様も、もしかしたら今日が最後のお客様がいるかもしれないしね。初めてのお客様もいるかもしれないしね。そういう風に考えられるといいんじゃないかなって言う風に思います。
最後までyoutubeをご覧いただきありがとうございます!!どうでしたか楽しかったでしょうか?またこれからもですね楽しい話、すべらない話、ちょっと心があったまるような、そんな話をして行こうと思います。ぜひチャンネル登録よろしくお願いします!そしてまた見てくださいね~ありがとう~!バイバーイ!